はじめての──

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はじめての──

「……好きです……付き合って、ください」 何回も練習したこのセリフ。やっと伝えられた。 僕は高校一年生。半年前くらいから後ろの席のあの子にそんな感情を持っていた。もちろん今までも好きな人はいた。けれど、気持ちを伝えることができず、そのまま終わっていった。もうそんなことはしたくなかった。だから覚悟を決めた。告白しよう、生まれて初めて告白しようと思った。 だけれど── 「ありがと……とっても嬉しい。だけどね、私、他に好きな人がいるの。ごめんね。でもこれからも友達でいてほしい」 ──振られた。オブラートに包まれていて柔らかく遠回しな優しい表現だったけれど、はっきりとわかった……振られた。 僕らはすぐにその場を立ち去った。 家に帰り、ベッドの枕に顔をうずくめて震えた。あんなに好きだったのに。その言葉しか頭にはなかった。せっかく告白したのに。その日は一日中、部屋にこもった。家族はなにも言わなかった。 次の日は皮肉にも学校があった。正直、不安しかない。気まずくなることくらい予想つくから。 学校へとたどる脚が重くなっていく。 でもさ、好きな人がいるんだったらしょうがないよな……実は昨日、あのあと好きな人をあの子の方から教えてくれた。だから知っている。このクラスのアイツだ。 そんなことを考えているときはもう門の真ん前。 諦めて教室へととぼとぼ向かう。 僕の予想通り、僕とその後ろの席の子は、なんだかギクシャクしていた。その席に、その空間に、いられなかった。いたくなかった。僕もすぐ友達の方へ行ったし、向こうもそうだった。 でも、仲を戻したいって思う。戻せるものなら戻したい…… 明くる日。空はどんより曇っていた。
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