第 1 話 の 4 

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「あれ? 七瀬さん飲めないの?」 ウーロン茶を片手に焼き鳥を食べていると、前の席に座っている松下さんにツッコまれた。 「はい、飲むとすぐに悪酔いしちゃうもんで……」 「えーっ、飲めない女子を演出しているんじゃないのー?」 「いやいや、そんなことないですー」 確かに私は飲める、というか結構好きな方だ。 でも今までに何度も失態を……。 でも今日は絶対に、そんなところを披露する訳にはいかない。 「まぁ、いっか。そういうことにしておいてあげる。あー、がんばってるなぁ柊先生」 「えっ? 頑張ってる?」 病院近くの居酒屋で開いてくれた私の歓迎会は、院長の桜川仁(さくらがわ じん)先生53歳の乾杯の音頭から始まって、無事私の挨拶も済んで、皆すでに飲みモードに入っていた。 松下さんは私の方に顔を寄せ、少しだけ声を潜めて話し始めた。
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