第 1 話 の 4 

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「うん。あの真面目そうな眼鏡をかけている若い先生が柊拓馬(ひいらぎ たくま)先生、研修医上がりの27歳独身。実際に世間知らずの真面目ちゃんなんだけど、今はその隣に座っているフェミニンなナース早乙女彩名(さおとめ あやな)25歳にご執心。でも、あの子は何を考えているのよくかわからないところがあるから、七瀬さんもちょっと気を付けた方がいいよ」 「あっ、はい。そうなんですね……」 早乙女さん……。 可愛らしい子だな、顔も体も華奢な感じで、お酒を飲んでいるのに、どこか凛としている。 気を付けた方がいいって、そんな風には見えないけど……。 「秋月先生のことは知ってるよね? 朝、回診についた」 「は、はい……」 もちろんですとも、あの小姑のように口煩い先生ですよね、やけに生ビールを美味そうに飲んでいる、あー、顔を見るだけで腹が立つ。 確かに私がわるーございましたよ、でもね、ものには言い方ってものがあるでしょ! っての。 「その隣で前原師長と話しているのがPT(理学療法士)の天沢遥人(あまさわ はると)君25歳、あのスウィーツのような甘いマスクで女性の患者さんからは年齢を問わず絶大な人気を誇ってる」 そう言われてみると確かに今時のかわいい男の子だな、私のタイプではないけれど。 「あとは―、ああ、そこでチューハイを飲んでいるのがパートのナース、佐々木典子(ささき のりこ)さん50歳。少々腰が重いタイプ」 腰が重い……。 この松下さんの紹介には、ちょいちょい毒が入っているな。
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