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「あっそうそう、それと、前原師長は桜川院長先生の愛人だから」
「えーっ? 愛人?」
「こらこら、声が大きい」
「あっ、すみません……」
「まあこれは周知の事実なんだけど、そこはまあ、そっとしておいてあげて」
「そうなんですか……、でもどうしてそんなこと……」
「桜川先生には奥さんがいるんだけど、事故に遭われて、もう10年以上会話もできない状態で、他の施設で24時間ヘルパーさんが付いているみたい。先生にはまだ高校生の娘さんもいるし、籍を外すことも難しいんじゃないのかな。だから前原師長を含め、皆がそのへんの事情を理解している、ってとこ」
「そうなんだ……。えっとじゃあ松下さんは、誰かお気に入りの先生とか、あっ彼氏さんとかいるんですか?」
「私は……、まだ検討中、かな。あっ、柊先生!」
見ると柊先生が倒れている。
隣では早乙女さんが静々とワインを飲んでいる。
どうやら柊先生は、彼女に酔い潰されてしまったようだ。
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