第 1 話 の 4 

5/6
289人が本棚に入れています
本棚に追加
/379ページ
「あっそうそう、それと、前原師長は桜川院長先生の愛人だから」 「えーっ? 愛人?」 「こらこら、声が大きい」 「あっ、すみません……」 「まあこれは周知の事実なんだけど、そこはまあ、そっとしておいてあげて」 「そうなんですか……、でもどうしてそんなこと……」 「桜川先生には奥さんがいるんだけど、事故に遭われて、もう10年以上会話もできない状態で、他の施設で24時間ヘルパーさんが付いているみたい。先生にはまだ高校生の娘さんもいるし、籍を外すことも難しいんじゃないのかな。だから前原師長を含め、皆がそのへんの事情を理解している、ってとこ」 「そうなんだ……。えっとじゃあ松下さんは、誰かお気に入りの先生とか、あっ彼氏さんとかいるんですか?」 「私は……、まだ検討中、かな。あっ、柊先生!」 見ると柊先生が倒れている。 隣では早乙女さんが静々とワインを飲んでいる。 どうやら柊先生は、彼女に酔い潰されてしまったようだ。
/379ページ

最初のコメントを投稿しよう!