第 1 話 の 5 

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「側管からミノファーゲンを1アンプル入れておいてくれ。効くかどうかはわからんが、まあおまじないだ」 そう言うと秋月先生は自ら柊先生の血圧と脈拍を測り始めて、私が指示された薬液を取りに行き帰って来ると、絞ったタオルで柊先生の顔を拭いていた。 「あっ、先生、それなことまで……。私がやりますから置いといてください」 「ありがとう」 先生はそう言うと、反対側に置かれているベッドの上に座り、壁にもたれかかった。 目は開けているが眠そうだ。 この人は、怖いのか優しいのかよくわからない。 素直に「ありがとう」なんて言葉も言うんだ……。 後輩の顔も拭いてあげたり。
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