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私は側管からミノファーゲンを注射し、柊先生の顔をタオルで拭いて、血圧と脈拍を測った。
「血圧108の60。プルス(脈拍)80です」
「そっか、ありがとう。じゃあもう上がってくれ」
「えっ? でももう少し様子をみたほうが……」
「俺がここで見とくよ」
「えっ、でも」
「大丈夫、もし吐いたりしても、こいつなら喉に詰まらせてすぐに死ぬなんてこともないだろう。それまでには俺が起きるさ」
「でも……」
「いいからもう上がれ。明日も仕事だろう。じゃあな、おやすみ」
そう言って、秋月先生はベッドの上に寝転んで目を閉じてしまった。
「わかりました……。じゃあ、おやすみなさい……」
明日も仕事、それは先生も同じだ。
気付くと先生はすでにスース―と寝息を立て始めている。
私は脱衣籠に置いてあったバスタオルを先生の上にそっと掛けた。
なんだよこいつ、寝顔は結構かわいいじゃないか。
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