第 1 話 の 2 

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「今のが秋月直哉(あきつき なおや)先生。今が旬の31歳。桜川病院の主力整形外科医よ」と前原師長が私に教えてくれた。 やはりここの医者だったか。 だが何故だろう、そろそろ申し送りが終わったナースも出てきているというのに、誰も処置車のところへ行こうとしない。 皆、先程の指示を忘れてしまっているのだろうか。 仕方なく「あのー、さっき回診にって言っていたし……、私、行ってきましょうか?」と隣にいた松下莉子(まつした りこ)28歳に尋ねると「うん。うん。行ってあげて。手前の205号室から回り出していると思うから。がんばってね!」と快く送り出してくれた。 創処置やブロック注射などを行うための器具や物品が載っている処置車を押して私は205号室へと早足で向かった。
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