夕凪、屋上世界

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 「鬱屈してんな、」と言う口もとはにやりと歪んでいる。  「腹減ってないか?学校裏のラーメン屋いこうぜ」  「いかない」  「おごりだぞ?」  「シャツ汚したら母さんに怒られる」  「おう、怒られろ」  「嫌だ」  「つか、シャツくらい自分で洗え」  それはそうだけど、と青梅は思う。山手から風が吹いてくる。黒に沈んだ世界を見渡せば、町は色とりどりの細かな明かりで溢れていた。知らない場所のようだった。  「…いつもここで煙草吸ってるんだ?」  「黙っててくれよ」  「ラーメンは口止め料ってこと?」  「んん?まあ、そんなところだな」  悪くないかもしれない、と青梅は思う。  それから、自殺願望のある少年は、一杯のラーメンのために屋上から出ていった。 終
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