7人が本棚に入れています
本棚に追加
「鬱屈してんな、」と言う口もとはにやりと歪んでいる。
「腹減ってないか?学校裏のラーメン屋いこうぜ」
「いかない」
「おごりだぞ?」
「シャツ汚したら母さんに怒られる」
「おう、怒られろ」
「嫌だ」
「つか、シャツくらい自分で洗え」
それはそうだけど、と青梅は思う。山手から風が吹いてくる。黒に沈んだ世界を見渡せば、町は色とりどりの細かな明かりで溢れていた。知らない場所のようだった。
「…いつもここで煙草吸ってるんだ?」
「黙っててくれよ」
「ラーメンは口止め料ってこと?」
「んん?まあ、そんなところだな」
悪くないかもしれない、と青梅は思う。
それから、自殺願望のある少年は、一杯のラーメンのために屋上から出ていった。
終
最初のコメントを投稿しよう!