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「去年まで、私達、小学生で全然周りの目なんか気にしていなかった……」
(う、うん。そうよ。いつも神くんと学校から帰るからって、だれも気にしないわ)
――二人で帰っている所へ、室生つぼみが仁王立ちで聞いて来ました。
「あなたたち、付き合っているの?」
室生の語気はあらかった。
「ち、ちがう」
「……ちがいますわ」
三上と野美は、あわてて否定した。
「いっしょに帰ったら、付き合ってますってしょうこになるのよ」
ツンツンした室生は可愛くなかった。
「家が近いだけだよ」
「二人は、小学校とか幼なじみなんだ。つぼみは、森川小から来てないから。真名小からよ」
三上のガードに室生が負ける訳がない。
「室生つぼみさんでしたよね。仲良くしてください。私は、野美ひなぎくです」
「三上直と言います。室生つぼみさん、同じB組ですよね。真名小のお友達もしょうかいしてください」
――この件以来、二人はぎくしゃくし始めた。
「でも、中学生になると、ひなぎくさんとぼくはかたを並べて歩くのもはばかれた」
(神くん、セリフに力が入っているわ。私もがんばらないと)
「いっしょに帰ってもらえなくなって、私、図書室にばかりいたわ」
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