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二人で、校庭に立ち止まっていた。
時よ止まれと目をつむっていたが、ぱっと笑顔をさかせて、羽生は心を伝えた。
「うううん、本当にそう思ったの。今、中学に入ってまだ二学期なのねって」
「小学三年から同じ組だったものな。オレがいつも追いかけていたみたいだったよ」
「あの『デイジーにささやいて』って、私のセリフをうばっているみたいだったのね。だから、気になって読んでいるの」
「それは、オレも同感。つらかったらごめん。オレは、直くんの一番気になっているセリフな」
うほんとせきをして、神が学ランのえりをとめた。
『ぼくがオリーブの木にさそった時、ひなぎくさんと交かん日記を始められないことが分かった。ショックだったよ……。図書室にばかりいるのだもの……』
『目が見えていないなんて思わなかった』
神のセリフに羽生がかぶせた。
羽生は空をあおいで、ひなぎくのセリフをそらんじた。
『ごめんなさい……。今までだまっていて、ごめんなさい……。図書室では、デジタル録音図書DAISYを楽しんでいたの……』
羽生は、主人公の気持ちになっていた。
『デジタル録音図書DAISY? そうか、ひなぎくさん、そうだったんだね……』
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