1人が本棚に入れています
本棚に追加
「こわい……ね。確かにひなぎくさんのあの展開はこわかった。うん、ぐすん。ちょっと泣けるわ。『デイジーにささやいて』は、視力の弱い野美ひなぎくさんが、デジタル録音図書DAISYを図書室に入れて欲しいと図書委員長にかけあったり、それを知った幼なじみの三上直くんが、優しくしてくれて、仲が深まる、心あたたまる物語なのにね」
羽生は、ベッドのクッションから体を起こして、パラリパラリと一巻から四巻までをめくっていた。
最近のスマートフォンは音を拾いやすいようだ。
神も、四巻のしょうげきのシーンを開いた。
「マンガ家は、和歌花絵先生で、二人で一組で書いているらしいね。調べたら、このお話しと同じで、ストーリーを視力の弱い和歌先生が、作画を姉の花絵先生が書いていらっしゃると分かったよ」
「知らなかったわ。どうやって調べたの?」
「ファンレターを出したんだよ。ごほごほ、うおっほん」
羽生は、ファンレターの話に飛びついた。
「そうね、いいアイデアがあるわ。今度の文化祭に和歌花絵先生をご招待いたしましょうよ」
「オレはいいけど、そういうのOKなのかな?」
「私、先週、月刊パピヨンからぶたいにしてもいいですよってお返事もらったの。今度は、お礼とご招待のお手紙を書くね」
「しずかさんが、一番無難だよ。たのみますよ」
「善は急げだわ。ではでは。お電話ありがとう」
「いや、こっちがお電話いただいたのにさ。ありがとうな」
プッツーツー。
◇◆◇
最初のコメントを投稿しよう!