憧れる

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憧れる

「持ってきたよ。」下校中、ゆっくり歩く青君に追いついた麗は思い出した様にカバンを抱えて青君の前に立った。「ん?」青君はあくびをしながら麗を見た。「ちょっと待って、」麗は片足で立ち、もう片方の足を直角に曲げて器用にカバンから雑誌を取り出した。「あ、その雑誌、読んだ事ある。」「なんで?」そう、その雑誌は女子に人気のファッション雑誌だった。メジャーではなかったが、少し原宿系やモード系も入っていて、全体的に少女的な雑誌だった。「買ったん?」「なんでやねん。」「なんか、持ってそうだから。」「図書館に行けばあるやろ。」「なんや~、チョイスして読んでたん?」「まあな。」青君がなぜその雑誌をあえて選んで読んでいたのかまでは聞かなかった。青君はすらっとしているし、キャシャだし小顔だし眉毛の形も整っている。何と言っても、深い海のような瞳は吸い込まれるようだ。太陽の下の青君の髪と肌は特に青く見えた。透き通るような青い髪から日差しがうつりそうだったし、透き通る様な青い腕や頬の静脈が透き通っている様だった。そんな青君だから、女子が憧れる雑誌を見てきれいなものや可愛いものを鑑賞するのも不思議ではなかったからだ。
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