サマーキャンプ

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だがプールが閉鎖されていては水着になりようもなく、突然訪れた幸運を神ではなく高気圧に感謝したものだ。 もちろんその感謝と、あまりの気温に消えてなくなれと吐いた呪詛の言葉のどちらにも嘘偽りはないとも。 そして同じ過ちは二度とすまいと、私は君に誓ったんだ。 一週間、サマーキャンプの日が来るまで私はダイエットに励む、と。 さて、話を今に戻そう。 君はこう言いたいのだろう。 私の持っているこれは何かと。 臆面もなく答えてしまおうと思うが、カップ焼きそばだ。 お湯を入れて数分待てばソース味の香ばしい麺が食べられるお馴染みのやつだ。 作り方と原材料を見てわかる通り、これは焼いてもいないし、蕎麦でもない。 しかしこれこそが焼きそばなのだ。 次に時間についての再認識が必要だ。 これは時計を見れば分かるが今は深夜二時だ。 午後12時を、あるいは午前零時を十二支の起点である鼠、つまり子の正刻として数え始めると前日午後十一時から午前一時が子の刻であり、そこから二時間が丑の刻。 三十分おきに一つ二つと数えれば、今こそまさに草木も眠る丑三つ時だ。 ……ついでに場所はもう説明を必要としない。 親の安寧のために我々子供は自然教育の名の元にサマーキャンプに送り込まれるものなのだ。     
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