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ここは大自然の中、と言う名目で車道から直結している未成年向けの施設で、私たちは囚われの哀れな虜囚ならぬ自然に放り込まれた都会の子供だ。
多少燃やしたかまぼこ板を川で懸命にたわしでこすって作った飾り小物がどれほど役に立つと言うのか。
落ち葉を広い集めて作ったタペストリーを開く機会がこの先の人生にあるというのか。
私にとっては日焼けに苛まれつつ川遊びをしている時間の方が貴重だった!
そういえばサワガニ見つけたな。あれどこいったっけ……。
ともあれ、川で遊んだあとにハイキングと称して登山をさせられた、あれがよくなかった。
自分で言うのもなんだが私はインドア主義だ。
なぜ降りることがわかっている山に上らねばならないのか。
山頂でスタッフに貰うスタンプにどれほどの価値を感じているというのか。
高いところからの景色程度で都会の便利さに身も心も二束三文で売り払った私の気持ちを奪えると思うな。
そんな雄々しい志を胸に、歩き慣れない足の裏には豆を抱いたものだ。
そんなわけで私はあのときから生まれ変わった私ver2なわけだが、登山に寄って失われるものがあることには逆らえない。
有り体に言えばカロリーだ。
眠り慣れないサマーキャンプのテント、寝付かせる気のない虫達のヤケクソの大合唱、呼応するかのように喚きだす腹の虫。
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