百億光年先のガガーリン

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数千もの無人宇宙探査船の一つがその青い星を発見したのは、幾ばくも昔のことだった。 宇宙地図製作がこの銀河を挙げた大プロジェクトとして掲げられ、当時としては最新の自律思考プログラムが搭載された無人宇宙探査船が毎日のように(そら)に放たれた頃と言えば、私が産まれるはるか前のことだ。 今日の会議の議題の一つに、この青い星が含まれている。面倒くさいことに、私がこの星の概要を発表することになっていた。 発見されてからこれだけの年月を経て、ようやく議論に上がる程度の取り立てて珍しくもない星のことよりも、私は発見されたばかりの第18宇宙の気体惑星に関する論文に取り掛かりたかった。 会議の前に、この部署に配属されたばかりの部下が私に言った。 「今日の議題予定のあの星ですが、生物がいることは確認されてるんですよね?」 私は眠たい目を三番目の足で擦りながら応えた。 「ああ、確認はされてるけどね。今時生物のいる星なんて珍しくもないしね。」
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