秘密だよ

9/10
前へ
/10ページ
次へ
~~~~~~~ 「うちね、お父さんが一人で私を育ててくれたんだ。」 そのあと、学校をサボってしまったことに気づいたが、学校に行くことは、諦めて街をぶらぶらしながら、はなしをしていた。前を向いてしずかは言う。 「お父さんがお母さんと別れてから、優しかったお父さんは、変わっちゃったんだ。イライラしたら、すぐに私を殴るようになっちゃって。だから、お父さんを怒らせないように、学校では、ずっと本を読んで、おとなしくしてたんだ。けど、つまらなくなっちゃって。インターネット上で友達を探したんだ。それが、あなただったんだ。」 「ごめんね、わたしの勘違いで、朝あんなに言っちゃって。」 「けどね。」 「わたしの話をこんなに聞いてくれたのは、あなたが、初めてだよ。」 「前ね、わたしがお父さんの話を友達にしたらね、秘密にしてって言ったのに、他の子に言っちゃったんだ。その友達。そしたら、あっという間に広がって、同じクラスの男子にすごくからかわれたんだ。すごく悲しかった。」 しずかがわたしの方を向く。 「けど、あなたは聞いてくれた。本当にありがとう。」 その瞳にはうっすら、涙がはってキラキラと光っていた。 「いや、こっちこそ、そんな話をわたしにしてくれてありがとう。」 「これから、わたしの親友になってくれる?」 「うん、もちろん!」 「そういえば、敬語じゃなくなってるね!」 「あ、ほんとだ!!」 わたしたちはお互いの顔を見て、笑いあった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加