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__雨が降っていた。
僕は傘を持っていなかった。
みんなは知らない振りをした。
僕だけが、只々濡れていた。
__雨は降り続いた。
僕は濡れながら歩いてく。
時々素朴な疑問を持つ。
「空って、本当に青かったのかな。」
__雨が遮られた。
僕に誰かが手を差し伸べた。
君は周りも気にせずに言った。
「君の眼、今日の空みたいに綺麗だね。」
__雨が弱まった。
君が傘を差してくれた。
笑って誤魔化していたけれど、
本当は君も、濡れていたんだ。
心の雨は今日も続く。
僕はみんなとは違うから。
それでも君がいてくれるなら
僕もまた、君の傘になろう。
広く青く澄み渡った
空模様になるその日まで
- 終 -
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