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子供の頃からだ。鹿児島県伊佐市の郡山八幡神社へは、一年に一度はお参りをしていた。けれども、今では眉唾物なのだろうなと思う。
13歳の時だった。
引いたおみくじが、珍しく弘法大師が伝えられた凶星が巡る大凶だったため。神主さんから神社の端に密かに呼ばれ、聞いたお話が将来の伴侶をここ鹿児島県で見つけることが、大凶除け云々と家族共々教えてくれたようである。
それから3年は、家族が私を伊佐市を連れ回し、辟易している私も一年に一度だからと割り切っていた。
なにぶん、小さかった頃なので、正確なことは私は知らずじまいだが、家族はいつも明るく笑っていたので、旅行自体を楽しむことにしていた……。
268号線からの車中では、今日はどこを観ようかと両親が終始話していた。
途中、休憩がてらに立ち寄った。十曽青少年旅行村では、ボーイスカウトたちがキャンプをしていた。私たちは車から降りると、背伸びをし、所々にあるキャンプ場からの静かな野営からなる匂いを嗅いだ。
優しい風の日だった。
飯盒の匂いにつられ、近くに寄ったテントには、真夏には似合わない七面鳥が焼かれていた。
「確実に余るな……これ……」
後ろを振り返ると、同じ年頃の少年がいた。
何やらボーイスカウトの恰好をしているが、見る限りだらしがない。茶髪で分厚いメガネを掛けた。覇気のない両肩をしている少年だった。
いつもは、どういう生活をしているのか。なんとなくだが、想像ができる。
もう一人が、後ろからも来ては、来ては、と優に3人も集まった。
「今日が最後だからって、ちょっとな……良かったら、食べる?」
だらしのない方が言うには、今日でキャンプは終わりのようで、明日にはそれぞれの地域へと帰るのだそうだ。
飯盒の匂いに七面鳥の匂い。
私には我慢することはできなかった。
急いで家族を呼び集め。
お言葉に甘える。
丸太にそれぞれ座り、だらしのない少年と言葉を交わした。
初めて食べた野営料理には、感激し。話は小一時間も弾んでいた。
父と母もとりわけ満足したところで、私の大凶除けの話を、ここにいないか、誰なのかというところまで、この場で話していた。
「俺、探してやるよ」
だらしのない少年以外も同じことを言ったので、彼らにお願いした。何故なら、彼らはここ伊佐市出身だったのだ。
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