モヤモヤ メランコリー

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モヤモヤ メランコリー

彼とはただのクラスメイトだった。 ……昨日までは。 それが他の男子と頭一つ飛び出して、私にその存在を意識させたのは今朝の出来事。 場所は玄関。 彼は靴を上履きに履き替えていた。 外靴を靴箱に入れる後ろ姿。 クラスメイトといっても、別に挨拶を交わすほど仲が良かったわけでは無い。 その時も、特に何か話し掛けるつもりなんて無かった。 でも落ちていたのだ、自転車の鍵が。 だから何気なく声を掛けただけだった。 「あ、もしかしてこれ新田くんの?」 「へ?あ……あ、そう。サンキュー」 そう言って、笑う彼に私も良かったと鍵を渡す。 カラビナに自転車の鍵と家の鍵らしいもの二つ連ねたシンプルなもの。 「これ無いと帰れないところだった。ありがとな」 刹那。 ふわっと彼の手が私の頭の上に乗った。 微かに触れた指先の感触。 人生で初めて……。 お父さんやお兄ちゃん以外の男子に頭を撫でられた。 その瞬間私の身体中に走った衝動といったら!! 瞬時に焔が体内を駆け巡ったかのように熱い。
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