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……!
思ったよりも柔らかい髪が絡んできて、ドキッとしたのは私の方だった。
慌てて彼に触れた指先を引き抜いた。
落ち着いて考えてみたら、異性の髪に触れるなんてこの行為は結構恥ずかしい!
新田くん、今までよく私に出来ていたな。
今更気付いたがでも、もう遅い。
一気に顔が火照る。
私は彼と目も合わせられず、逃げるように背を向けた。
「と、取れたよ。じゃ、私先に行くから」
この心臓のドキドキは、今階段を駆け上っているから。
決して恋などではない。
だって、嬉しくも楽しくもない。
フワフワもしない。
ただ心臓がやかましいだけ。
教室に駆け込み机に突っ伏して呼吸を整える。
落ち着け、落ち着けと心の中で唱えながら。
そして、答えに至る。
ああ、そうか。
彼にとって私は、異性認定されていないということか、だからあんなに気軽に撫でてくるのかと。
私ばかりがまた、モヤモヤに覆われていく。
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