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「おい、何してんの?早く行くぞって」
ついてこない私を気にしてか、わざわざ上から戻ってきた新田くん。
こんな大女でガサツ女の私にまで……。
誰にでも優しいんだなぁ、と感心。
背、高いし。
顔もまあまあ。
あ、笑った顔可愛いよな。
私にまで優しいんだから、きっと誰にでも優しいんだろう。
それに話し易いし……などとのどかに考えていた。
「ほら、行くぞっ」
「え!?あっ!きゃっ」
私の手首を掴み階段を駆け上る。
早い早い。
転ばないようにと、全神経を研ぎ澄ます。
一段飛ばししないと追いつかない速さ。
教室の手前で漸く放たれた手。
掴まれていた部分に彼の熱が残ってジンジンと熱い。
「良かったな、間に合って。明日は寝坊すんなよ」
そう言って、当たり前のようにくしゃりと私の頭を一撫ですると、何事も無かったかのように教室へと入っていった。
「寝坊なんかじゃ、ないのに……」
ガサツに加えて時間にだらしない女と思われただろうか。
最低だな。
でも、わざわざ言い訳する程の仲ではない。
また一つ、モヤモヤが増えていく。
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