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「……って、ちょっと待って。それって、もしかして……私で実験してたって事!?ひどいっ、大女ならからかっても傷付かないと思ったの?」
自分で放った大女に傷付いて声に涙が滲む。
「え?ち、ちょっと待って!違う、誤解だって!何でそうなる!?ちゃんと話聞いて」
「イヤだ!聞かない!だってヒドイもん。それでもし、私が新田くんの事好きになってたらどうするのよ。困るでしょう?遊び半分でそんな実験しないでよ、バカっ!!」
私は捨て台詞を彼にぶつけて踵を返した。
「待てって!実験じゃ無い。どっちかっていうと『頭なでなで大作戦』だ!」
後ろで叫ぶ彼。
何その変な作戦名……。
つい足が止まって彼を振り返ると、真っ直ぐな瞳をこちらに向けていた。
じっと見詰められて居心地が悪い。踵を返して階段を二段上り、彼の顔は見ずに答えた。
「からかわれるの嫌いだから。今度からそういうのは本当に好きな人にだけして」
大女なら傷付かないと、本当にそう思ったのだろうか。
モヤモヤに悲しみが加わる。
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