モヤモヤ メランコリー

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彼の席は廊下側の一番後ろ。 廊下側の席は入り口に面してるから五列しか席が無く、私は更にその二列後ろの窓側の席。 新田くんは背が高いせいか、私の席からは彼の後ろ頭が良く見える。 その日の授業中何度も、その後ろ姿に目が漂っては朝の言葉が浮かび上がった。 『思ってたよりガサツなんだな』 何度も繰り返される彼の声に、恥ずかしくて身悶えしそう。 出来る事なら言い訳したい。 確かにガサツなところもありますが、でもこう見えてちゃんと料理だって作れるしお裁縫だって苦手では無いデス。 こんな大女でガサツ女ですが、ちゃんと女子してます!って……。 でも、そんなのわざわざ私に言われたところで彼も困惑するに決まってる。 弁解の余地すら与えられないのか。 ため息をついては視線をノートに落とす。 ガサツ、かあ。 そう認定されちゃったな。 そしてまた黒板を見たついでに彼の背中に視線が泳ぐ。 言い訳したい。 でも、されても困るか、とまた同じ事がぐるぐる巡っては再びノートに落ちた視線。 せめて明日からは、このガサツさをなんとかしよう。 心に誓う六時間目の数学。 眠気を飛ばすために窓の外に流れる雲を眺めた。
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