ゆみこと柱神《はしらがみ》さま

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うれしそうに(ほそ)められていたオドロゲの黄色(きいろ)い目が、(おどろ)きのあまり(まる)くなります。 そこに(うつ)るゆみこの(かお)――柱神の面――は、台所の柱に()るされていた(とき)とはまるで形相(ぎょうそう)()わっていました。 レモンの(かたち)をした、目じりの()れ上がった目。 (なに)かに()らいつくかのように(ひら)かれた口。 見るからに(おそ)ろしく、(つよ)そうです。 火山(かざん)火口(かこう)のように(ふか)くて(くら)(りょう)の目には、()(そこ)のマグマのような赤い(ひかり)宿(やど)っていました。 くわっと開いた口からは、(いき)をするたびに()()がふき出します。 「柱神さまは、かまど神さまじゃ」 おじいちゃんが(おし)えてくれたとおりでした。 「()のほどを()れ!」 柱神さまが一喝(いっかつ)すると、赤い火炎(かえん)が口からほとばしり、化け物の顔を()きました。 オドロゲは(あたま)のてっぺんからつま(さき)までふるえています。 (こわ)くて怖くて、しかたがない様子(ようす)です。 よだれまみれの口から、細くかすれた悲鳴(ひめい)がもれました。 「(いま)すぐ、ここから()()れ!」 柱神さまが命令(めいれい)すると、化け物は黒い(かぜ)のように階段に()かって()び、またたく間に姿(すがた)()しました。
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