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オドロゲが去ると、柱神さまが口を開きます。
顔にくっついているお面がしゃべると、どういうわけかゆみこの口も一緒に動くのでした。
「どうしてあんなのろいを受け入れたのだ」
そう聞かれても、返事に困ります。
まるで自分で自分に質問しているようで、「なんか変」だなと思いました。
「なぜ朝まで、がまんしなかった」
「だって。帰ってきたら、ママが食べられちゃうじゃない」
「あれはうそだ。化け物は一人でいる時しか家に入れないと教えたぞ。なぜがまんしない」
柱神さまは低くひびく声で聞いてきました。
「妹でいいわ」と言ったことを怒っているのです。
ゆみこは口をとがらせて答えました。
「だって、生まれてくるのは男の子だもん。弟に決まっているの」
柱神さまは底ひびきのする声で、ゆみこを叱ります。
「神でさえ分からないことを、お前ごときがどうして分かる。妹が生まれたら、どうするつもりだ」
「お医者さまが超音波で、赤ちゃんの写真を撮ったの。『男の子ですよ』って。ゆみこ、ママと一緒にお話し聞いたんだから。写真、見たもの」
ゆみこはママのおなかにいる弟について、いっしょうけんめいに説明します。
神さまは口を出さずに話を聞いてくれました。
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