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おじいちゃんは、ゆみこのかぶる柱神さまのお面に向かって頭を下げました。
ゆみこもおじぎをします。まるで二人で拝み合っているみたいです。
「これではゆみこが嫁に行けませぬ」
柱神さまはあいかわらず、なにも言いません。
ゆみこが不安に思っていると、ふいにお面がふるえます。
おどろいたゆみこが顔を上げた拍子に、柱神さまはポロリとはがれ落ちました。
おじいちゃんはそれを両手で受け止めます。
そのまま台所へ持っていって、木彫りのお面を柱にかけました。
戻ってきたおじいちゃんは、ゆみこの顔を見て目を細めます。
「柱神さまは、いたずら好きでいらっしゃる」
あわてて鏡をのぞき込むと、顔ぜんたいが煤をぬりたくったように真っ黒でした。
手でこすっても、取れません。
石けんで洗っても、落ちません。
ゆみこはあわてました。
「どうしよう、どうしよう」
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