心を動かす風

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「信吾、何なの……」 思わず漏れた言葉に風吹くんはちらりと私の顔を見た。 「あめちゃん、そんなセリフないよ」 「あっ、ごめん」 慌てて台本を見つめる私を見て、風吹くんはクスっと笑った。 「あめちゃん、自信なさげだったけどうまいね」 「えっ?そう?」 「なんか感情が入ってる。……同じようなことあった?」 「えっ?」 じっと台本を見つめて黙り込んだ私を見て、風吹君は慌てたように 「ごめんごめん!今のは、なし。じゃあ次行こうか」 と自分の台本に目を落とした。 物語は王道恋愛ものというだけあって、玲の心は剛士に揺れる瞬間はありながらも、一貫して信吾の方を向いていた。 結局、剛士に想いを告げられた玲は、その告白を受け入れることはなかった。 そしてそれを知った信吾は、自分の気持ちに気づき玲の元へ向かう。
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