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「相変わらず、あめちゃん人気はすごいね」
集中力を切らしたカメラマンが笑ってそう言うと、すかさずヘアメイクの女性が髪を整えに入る。
「そんなことないですよー」
謙遜しつつ笑顔は崩さない。髪を整えてくれた彼女に笑顔でお礼を返すと、再び私はカメラに視線を移した。
中3の夏以降すべてのことがうまくいかず絶望に打ちひしがれていた私はじょじょに食欲が減退し、1年後の高1の夏には10キロも体重が減少していた。
そんな私を心配した麻帆は
「ちょっと、恵。そんな痩せ方体に良くないよ。気晴らししよ」
と言って何かと理由をつけては、私を買い物や食事に連れ出した。
「麻帆はいいよね。美人だし、何を着ても似合う」
ある日、麻帆行きつきの洋服店でぽつりとそう言った私に、麻帆は珍しく語調を荒げた。
「恵は自分のこと分かってなさすぎ」
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