彼のち、引きこもり。ところによりにわか飴

心を動かす風

彼の言葉の意図をくみ取れずにいる私に、風吹くんはニコッと笑って見せた。
「あめちゃんは純粋に麻帆ちゃんが好きだから、そういうところが気にならないんだよ。普通の女の子はそういうところ、すぐカテゴリー分けしたり、マウンティングしたりするもんだから。楽なんじゃないかな、麻帆ちゃんは。そのままの自分を、そのまま見てくれるあめちゃんみたいなお友達」
本当に風吹くんは褒め上手だ。
そう言われると、例えそうでないとしてもそうなんじゃないかと思えてくる。
「あめちゃんみたいな子って貴重だよ。何かさ、傷つけられたりしても時が経てば許しちゃいそうだよね」
「んーそうかな？」
「うん。罪を憎んで人を憎まずっていうかさ」
「単純とはよく言われる」
そう言った私を見て、再び風吹くんは深くうなずき
「わかる！」
と目を輝かした。
「それは、嬉しくないかも」
口を尖らす私を見て、風吹くんはポンッと私の頭を触った。
「これはね、褒めてるんだよ？」
そう言って私を見つめる彼の瞳に少しだけ、ドキッとした。
本当に風吹くんは、人の心をひきつける天才だ。