心を動かす風

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「私の人生の器が100だとしたら仕事が50、学校が50なの」 「うん」 「そこに彼氏が入ってきたらどうなる?」 「……あふれる?」 おそるおそる答えた私に麻帆は大きくうなずいた。 「正解!溢れないようにするには何かを削らなくちゃいけない。でも私はどっちも削りたくない」 「器を大きくしてみるってのは?」 「無理無理。そんなことしたら器がひび割れてすべてが流れ出てっちゃうわ」 当然の主張とばかりに言い切った麻帆は 「一個でも中途半端になったら、私自分が許せないと思うんだよね」 と続けた。 本当に麻帆は真面目な子だ。 正義感が強くて、絶対にぶれない。 私はそんな麻帆を尊敬しているし頼りにもしている。 ただたまに息苦しくならないだろうか、と思うことがある。
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