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「いらっしゃい」
入口にいたお母さんの声にビクッと体を震わせた後、私は
「おじゃまします」
と言って家にあがった。
以前来た時よりは、少しばかり穏やかに迎えてもらった気がする。
私が陽太の部屋にすんなり入れたことが信用に繋がっているのかもしれない。
「どうぞ。あがって」
そう言ってちらりと二階に視線を送ったお母さんは
「これ」
と言って私にペットボトルのお茶を2本差し出した。
「あっ、ありがとうございます」
戸惑う私に、お母さんは
「部屋でお出しできなくてごめんなさいね」
と返した。
そうか。陽太はまだお母さんを部屋に入れるまでには至ってないか……。
「いえ」
と会釈を返した私は、ゆっくりと階段を上がり彼の部屋をノックした。
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