世界に繋がる空

5/24
前へ
/359ページ
次へ
「何これ?」 「これは“自分が今何をしているか”っていうのを投稿するSNSじゃなくて、世界のどこかで誰かが求めている写真をその人のために投稿するSNSなんだ」 「その人のために?」 首を傾げた私に、陽太はコクリとうなずいた。 「そう。その写真を求めるたった一人のために、自分が撮った最高の写真をプレゼントしあう。それがこのSNSの目的」 陽太の言っていることがいまいちぴんっと来ず私は小さな疑問をぶつけた。 「ほしい写真があるなら、ネットで検索した方が早くない?」 そんな私の疑問を陽太は一瞬鼻で笑った後、くるりと椅子を回転させこちらを見た。 「そこに“今”はないだろ?」 その言葉の意味を私は必死で模索したけれど、正しい答えを導き出すことはできそうになかった。 「検索で出てくる写真は、たいていどこかの誰かがかつて撮影したものが、インターネットの世界から見つけ出されて表示される。でもこれは違う。今、画面の向こうで、その画像を誰かが自分にくれるんだ」 「うん……」
/359ページ

最初のコメントを投稿しよう!

347人が本棚に入れています
本棚に追加