世界に繋がる空

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「そんなことないよ。誰かのためになることをちゃんと成し遂げてた。私……あの頃、自分が“女じゃない”とか勝手にイメージだけでいろいろ言われてすっごく傷ついたのに。自分も同じことしてた」 言葉を漏らしながら罪悪感が心を支配していった。 「いや、俺は確かにあめが初めて家に来た時、ダメな奴だった。部屋にこもって、母さんのことも無視して。少しでもムカつくことがあったら喚き散らしてたし」 苦笑いを浮かべた陽太は 「結局、俺がアプリを作ったのも自己満足。俺は何かを成し遂げようとしてるんだ。ちゃんと生きてるって、誰かに証明してほしかった。素晴らしい志があったって言ったら嘘になる。だから気にするな」 と言った後、 「あの時、あめがこんな風にしなかったら、今も変わってなかったかもしれない」 と自分の髪を触った。 「死ぬかもって思ったら、自分が生きてるふりしてただけで生きてなかったことに気づいた」 その言葉がずっしりと私にのしかかった。 私は今、ちゃんと生きていられているだろうか。
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