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「でも、あめ、こんな人と同じ世界にいるんだな。すごいよな」
「私は全然すごくないよ。麻帆の友達だったからたまたまこういうことになっただけで。プロ意識とかまだまだ全然足りない」
「それでもずっと俺より先にいる」
陽太のその言葉に、私ははっとなって彼の顔を見た。
「私もさっき同じこと思ってた」
「えっ?」
「陽太はずっと私の先にいる、って」
目を見合わせた私たちは、思わず噴き出して笑った。
「二人とも同じってことか」
「うん。まだまだ成長の余地あり、かな?」
何だかこんな話を陽太とできるのが嬉しい。
私はまた彼と友達に戻って“一番好きな友達”に昇格できるだろうか。
あっ……。ダメだ。“ライク”なのに、また陽太に一番を求めてしまうところだった。
権利を求める好きは、もうやめたんだ。
じっと彼を見つめた私は
「お互い、がんばって成長しようね」
と当たり障りのない、だけどどこか不自然な言葉を投げた。
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