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「ご迷惑かけてすみません。風吹くんとは大学の友達で、この間偶然、大学で会って。それでカラオケに行くことに……。でも、付き合ってるとかじゃなくて!カラオケでも、読み合わせに付き合っただけで」
「読み合わせ?」
「はい。風吹くん、映画の出演が決まったから、それに付き合ってほしいって」
私の言葉に社長と坂巻さんは目を見合わせた。
「そういうこと……」
合点がいったというように、坂巻さんはカバンを漁り、私の前に一冊の本を差し出した。
「これ……」
驚いた顔で、それを受け取った私に
「見覚えない?台本」
と彼女は言った。
私はその言葉にゆっくりうなずいた。
それはまぎれもなく、風吹くんが持っていたあの本と同じものだった。
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