予兆を告げる雷

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「あなたに、その映画のヒロインのオファーが来てる」 「えっ?……えっ?」 思わず二度聞き返した私に今度は社長が説明を始めた。 「もともとこの映画は、鳴川風吹のために作られたものなんだ」 首を傾げた私に、社長はたんたんと説明を続けた。 風吹くんの事務所では、本格的に彼を売り出そうと考えていた。 今でも彼は十分に人気俳優だけど、もう一押し欲しい。 そう思った事務所は、彼主演の恋愛映画の製作を決めた。 若者人気を取り込もうという作戦だ。 大きな事務所は規模が違うなー。 感心したように話を聞いていた私の様子に気づいたように坂巻さんは 「恵、話聞いてる?」 と私に声をかけた。
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