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「もちろん!……で、なんで私に?」
結論を急ぐ私に、社長はコホンッと喉を整えてから再び話を始めた。
「もともと相手役は、彼と同じ事務所の売り出し中の女優に決まっていた。でも、運よくなのか運悪くなのか、長期ドラマのヒロインに抜擢されてね。撮影も映画の時期とかぶってしまう状況になった。そちらの方を優先させた方が良いだろうという会社の判断で彼女を外すことになったらしい」
「なるほど……で、なんで私に……」
再び答えを急かした私を見て、社長は諦めたように結論を伝えた。
「鳴川風吹、直々の指名だそうだ」
その言葉に私は息を飲んだ。
風吹くんが、私を指名した?
状況を読めない私に坂巻さんは
「だから聞いたの。彼と付き合ってるのか確かめたくて」
と言った。
「いや!ないです、ないです!私も何で彼が私を指名したのかさっぱり……」
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