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数分後、ピロリンという通知とともに私たちが仕事でやっているSNSの通知が届いた。
「恵と食事中。新しいアプリを教えてもらった。何だか楽しそう」
最後にハートマークまでつけたその投稿は瞬く間に、拡散されていった。
「なんていうアプリですか?」
「私もやってみたい」
「本当に仲良しですね」
というコメントを見た麻帆は
「ねぇ、アプリのこと、教えても良い?」
と私を見つめた。
「えっ……えーと……」
陽太に許可を取っている暇はない。というかそんなことしたら、麻帆が怪しむ。
陽太もいろんな人にやってほしいって言ってたし……
「いいんじゃないかな」
と答えた私の言葉に麻帆はクールに微笑み
「フォトプレっていうアプリだよ」
と投稿を続けた。
再び、ファンの拡散が始まる。
その画面を見つめて、麻帆は
「よし。仕事終了!」
とスマホを置いた。
タイミングよく置かれた食事を見て
「食べようか」
と言った麻帆は、それっきりアプリのことや、私が事務所に呼ばれた原因を深く探ってくることはなかった。
いつも通り麻帆は私にしか見せない顔で笑い、私はその顔を見ただけで幸せを独占したような気持ちになる。
坂巻さんに聞いた時、麻帆はどう思うんだろう。
ちらりと表情を覗き見た私の顔を見て、麻帆は再びにっこりと笑った。
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