予兆を告げる雷

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その日の夜、自宅に帰った私は一人で台本を読みふけった。 パラパラとストーリーを目で追っている途中で私はふっと手を止めた。 「キスシーン!?」 思わず声を上げてしまった。 そうだ。 読み合わせでは他人事だったからすっかり忘れていたけれど、この話、キスシーンがあったんだ。 ……やっぱりなんか自信なくなってくる。 ぽんっとテーブルにスマホを置いた私は、傍にあったスマホを手にした。 「……おかしい」 陽太からの連絡がない。 麻帆がフォトプレのことを広めてしまったことを一応伝えなくてはいけない。 そう思い送ったメッセージはいつまでも既読になることはなかった。 不安になった私は、彼のスマホに電話をかけてみた。 ……出ない。 何度も響くコール音がますます私を不安にさせた。
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