予兆を告げる雷

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空気を察したのかなるべく急いでくれたのだろうドライバーに 「ありがとうございました」 と頭を下げ、外に出ると、少しだけ冷静な気持ちになった。 一度大きく深呼吸をしてから、彼の家の前に立つ。 慎重にチャイムを押すと、少したって 「はい」 と聞きなれた声が聞こえた。 「あの……」 そこまで言ったきり言葉に迷った私に、インターフォン越しのお母さんは 「陽太ならいません」 と言葉を返した。 「……入院したんですか?」 恐る恐る聞いた声に 「知ってたの……」 とため息まじりの声が聞こえた。
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