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ガチャっとインターフォンが切られた後、ドアが開く音が聞こえ、私はそちらを見た。
中から顔を出したお母さんが、周りを見渡した後
「どうぞ入って」
と声をかけてくれた。
その不安げな瞳に嫌な予感はさらに高まったけれど、私は慌てて家の中に足を踏み入れた。
玄関に入ったとたん、お母さんは鍵をしめ
「ここにいる」
と私に病院の名前の書かれたメモを渡した。
「あの……陽太は何で」
不安げに聞いた私に、お母さんは少し悩んだ後、
「この間、あなたが来た時……」
とか細い声で話を進めた。
あの日、私が帰ってすぐ、陽太のお父さんが家に帰ってきた。
帰宅早々お父さんは、
「家から女の子が出てくるのを見た。いったい誰だ?」
とお母さんを問い詰めた。
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