予兆を告げる雷

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思わず口ごもってしまったお母さんの様子で何かを察したお父さんは、無言で階段を上り、陽太の部屋を勢いよく開けた。 陽太が部屋にこもり始めた頃を最後にそこに足を踏み入れていなかったお父さんは、部屋の様子を見てたいそう不愉快な顔をしたらしい。 当初の荒れ具合と比べて部屋がきれいに片付いていたからだ。 その上、陽太の切られた髪も、その日初めて見たという。 「彼女ができたのか?」 冷めたようにそう言ったお父さんを陽太は一度、無視をした。 それがお父さんの逆鱗に触れた。 「お前、家の中にこもっているだけでも恥さらしなのに、そういうことだけはしっかりやってるのか」 そう言ってぐっと彼の髪を引っ張ったお父さんを見て、お母さんは慌てて止めに入った。 「やめてください」 「うるさい。お前は知ってて放っておいたのか。お前が甘やかすからこういうことになった」
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