予兆を告げる雷

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勢いにまかせ、お父さんがお母さんを突き飛ばした瞬間、陽太はお父さんのことを思いっきり押してしまったのだとういう。 逆上したお父さんは 「お前なんて出ていけ」 と陽太の腕を引っ張り、外に追い出そうとした。 部屋から出ようとしない陽太と、引きずり出そうとしたお父さんがもみ合いになって、階段前で陽太が足を滑らせた。 うめく陽太を見て、お母さんは救急車を呼ぼうとしたけれど、結局お父さんが 「騒ぎにするな」 と電話を奪い取った後、彼を車に乗せ、近くの救急病院に連れて行ったのだという。 ひどい……。 あまりの状況に言葉を失う私に、お母さんは 「あの人はいつも通り仕事に行ってる。でもあれ以来、ピリピリして私にも当たり散らしてくる。万が一あなたと会ってしまったら、きっとあなたにも迷惑をかけることになる」 と声を潜めて言った。
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