347人が本棚に入れています
本棚に追加
「悪いけど、病院に行くなら一人で行ってもらえる？私も不用意な行動ができない状況なの」
申し訳なさそうにそう言ったお母さんは
「分かりました。あの……お母さんもあまり無理をしないで」
と言った私に
「ありがとう」
と小さな声で答え、家の鍵を開けた。
閉まるドアに向かって深々頭を下げた私は、病院名と病室が書かれたメモをじっと見つめた。
このへんで一番大きな病院だ。
私もおじいちゃんが倒れた時くらいにしか行ったことがない。
陽太は大丈夫なんだろうか。
迫りくる不安をなるべく遠ざけるように、私は急いで病院へ向かった。
病院に入るなり、ざわざわとした人の喧騒を感じた。
私は慌てて帽子をかぶると、案内板とメモを交互に見つめた。
「あっちか……」
最初のコメントを投稿しよう！