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「平気なの?」
「うん。いやーまさかこんなことで外に出ることになるとは思わなかったけど」
少し腫れた顔で苦笑いを浮かべた後、頬が痛んだように陽太は
「いてっ」
と声を上げた。
「全然平気じゃないじゃん。お父さんこんなことするなんて……。それに外の名前……」
病室に書かれた名前を思い出し、そう言った私に陽太は
「あぁ、父さんがここの病院の院長と知り合いなんだ。まぁ、俺も誰かに気づかれるかもって心配しなくていいから楽だよ」
と平気そうに言葉を返した。
「でも……」
「それより、玲って誰だよ」
「えっ?」
陽太の視線を追った私は自分の面会証を見て、あぁと声を上げた。
「あぁ……あのね、私映画に出ることになって」
「えっ?いてっ……」
一瞬体を動かそうとした陽太は、痛みに耐えられず再び布団に体をうずめた。
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