予兆を告げる雷

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「大丈夫?……それで、その映画の役名が玲って言うんだ」 「へーすごいじゃん」 「すごいのかな?」 不安げに首を傾げた私に陽太は 「すごいよ」 と繰り返した。 陽太がそう言うと、不思議とそうなんだと思える気がした。 「あっ、これまだ秘密だったんだ」 慌ててそう言った私に陽太は 「大丈夫。俺には言うような相手がいない」 と笑った。 入り込む日差しを見て、私は陽太に声をかけた。 「今日、空青いね」 「あぁ……ここにきて久しぶりにこんな広い空を見た」 窓の先を見つめそう言った陽太の目はどこか寂しそうに見えた。
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