予兆を告げる雷

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「ちゃんと病院の先生とも看護師さんともコミュニケーション、取れてるんでしょ?」 「そりゃ……まぁ……」 「うん!そうやって少しずついろんな人と話せるようになったらさ、きっと外も怖くなくなる」 「そういうもんか?」 「そういうもんだよ!」 笑顔で言った私に陽太は自信なさげに、だけど素直にうなずいた。 それにほっとしたとたん私はあることを思い出した。 「あっ、麻帆のこと、ごめんね」 「えっ?あー俺はいいよ、むしろ広めてもらってありがたい。だけど、あめ大丈夫なの?」 「えっ?」 「あいつ絶対俺のこと嫌いだよ。あめを傷つけた奴なんて許さないって思ってるはず。俺が作ったって知ったら怒ると思うよ」 そんなことないよ、とは言えなかった。 麻帆はきっとそう思ってるに違いない、と私自身もそう思っていた。
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