予兆を告げる雷

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「うん……」 「何かあったら俺より、麻帆を優先しろよ」 陽太の言葉に私は、驚いて首を傾げた。 「辛い時、ずっと傍にいたのはあいつだろ。俺が傷つけた時も、クラスの男子がからかった時も、お前をモデルの道に進ませたのも、全部麻帆だろ」 「そうだね」 「俺よりずっと、お前のこと大事にしてきた奴だ。いざとなったら俺を切れ」 その言葉に私は胸がズキッと痛んだ。 陽太のことを知られたら、私は麻帆か陽太、どちらかを選ばなくちゃいけないんだろうか。 確かに陽太には傷つけられた。 でも、少しずつ、お互いの気持ちを正直に話せるようになって、ようやく心が通じ合えてる実感を持ち始めている。 それでも私は陽太を切り捨てなくちゃいけないんだろうか。 まだ恋を知らない子供のころは、ただ好きだ、傍にいたいというだけで一緒にいられたのに。 傍にいたい人まで取捨選択しなくちゃいけないなんて、大人になるって複雑だ。 皆、何も知らない子供のままでいられたら、こんなに苦しい想いしなくて済んだのかな。
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