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「そう。大人って、どんどん汚れていくような気がして、ろくなことないなぁって思うけど、唯一子供より優れてるなって思うのは経験値よ。傷ついた数の分だけ引き出しもいっぱいある。こういう時にその引き出し開けてあげないと錆びて開かなくなっちゃうからね。
麻帆が少しでも傷つかないように、恵のこと応援できるように、私も引き出しフル活用してサポートするわ」
そう言ってブンブンと腕を回した坂巻さんを見て私は思わず声をあげて笑った。
「坂巻さん、ありがとうございます。私、坂巻さんがマネージャーで良かったです」
そう言った私の顔を驚いたように見つめた坂巻さんは
「やめてよ。照れるじゃない」
と頬を染めた。
その日の夜、一人の家で私はずっとドキドキしていた。
きっと麻帆から連絡が来るに違いない。そう思って見つめたスマホの画面が光ったのは23時を過ぎた頃だった。
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